富山大学 カーボンニュートラル創生研究センター

各部門について

【研究開発部門】

当プロジェクトは、持続可能な社会を目指して、次世代の温室効果ガス物質変換技術を開発する学術的基礎研究及びその社会実装を目指す応用研究を行うことを目的とし、国際・国内地域の喫緊な課題へのソリューションを提供します。

例:二酸化炭素転換、バイオマス利活用、シェールガス革命、廃棄プラスチック対策、3Dプリント、スマート材料などの研究を行います。

①CO2 からPX(パラレキシン)の製造(NEDO委託事業:2020-2024年度)

共同採択先日本製鉄(株)、千代田化工建設(株)、日鉄エンジニアリング(株)、ハイケム(株)、三菱商事(株)、 2024年9月からENEOS(株)も参加

※PX(パラキシレン)とは? パラキシレンは、ポリエステル繊維やPETボトルの製造に必要な化学品です。

千代田化工建設(株)では、パイロットプラントを建設、運転開始。CO2を原料とするパラキシレンの単離に成功しました。

次期新規触媒についても準備済みです。(Nature Comm誌2024年9月掲載)

千代田化工建設 試験プラント

初単離されたCO2由来の
パラキシレン

パイロットプラントで製造したCO2由来のPXの一部を用いたポリエステル繊維をTHE NORTH FACE((株)ゴールドウイン 本社富山県)により、パリオリンピック・スポーツクライミング代表ユニフォーム(日本・アメリカ・韓国・オーストリアなど)として採用されました!
★シャツとしてもショップで販売されています。

②CO2から低炭素LPガスを製造する研究開発(NEDO委託事業:2020-2024年度)

共同採択先ENEOSグローブ(株)、日本製鉄(株)

瀬戸内海の中国電力(株)と電源開発(株)二社のIGCC火力発電所から排出されたCO2を使用して現地で数回運転し、目標達成しました。
次期新規触媒についても準備済みです。(Nature Comm誌2024年1月掲載)

IGCCとは、Integrated Coal Gasification Combined Cycleの略です。
石炭をガス化して、ガスタービンと蒸気タービンの2種類の発電形態を組み合わせて複合発電を行う発電方式のことです。

他にも・・
ホンダとの共同研究(低炭素燃料)も進行中です。
トップ誌 Angew Chem にCO2から低炭素ガソリン合成論文公表しました(2024年8月)。

③バイオマス・廃棄物資源のスーパークリーンバイオ燃料への触媒転換技術の開発(SATREPS事業:2016-2023年度)

共同採択先一般財団法人石炭フロンティア機構、ENEOS(株)、(株)巴商会
タイ:チュラロンコン大学、北部再生可能エネルギー社、タイ石油公社

SATREPS(サトレップス)とは、地球規模課題の解決に向けた日本と開発途上国との国際共同研究を推進するプログラムです。

低炭素ジェットの直接合成方法と新規触媒を開発しています。

(椿研究室2018年Nature Catalysis誌論文、2018年Nature誌社説)

  • バイオマス資源を液体燃料へ変換する技術の開発をしています。
  • 再生可能な資源から化石燃料の代替品を生産し、資源・環境問題に貢献する技術の開発をしています。

事業終了後も引き続き研究開発を継続しています。

プレスリリース(抜粋)

  1. CO2を原料とする化学品(パラキシレン)製造の技術開発に着手
    ―カーボンリサイクル技術の世界最先端の取り組みで実用化を目指す―
  2. CO2を原料とするパラキシレン製造 ~パイロットプラントにおいてパラキシレンの製造、単離に成功~
  3. ザ・ノース・フェイスがスポーツクライミング日本代表にユニフォーム、チームウェアを提供
  4. NEDO 委託事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発」において 「カーボンリサイクルLPG製造技術とプロセスの研究開発」が採択 CO2原料からLPガスを製造する研究開発に着手
  5. カーボンリサイクル実証研究拠点、基礎研究エリアで研究開発に着手
    ―火力発電所から排出されたCO2を活用し、カーボンリサイクル技術の早期実用化を図る―

①多角バレルプラズマ表面修飾・改質法を用いた高活性ナノ触媒の研究

当研究では地球温暖化の主因とされるCO2排出量の削減に向けて、我々が独自に開発した「多角バレルスパッタリング法」を用いて高活性ナノ触媒を創成し、排ガスから天然ガス(メタン)を製造するCO2メタン化反応やメタンから水素を製造するメタン脱水素反応の低温化、エネファームや自動車に利用される燃料電池用電極触媒の高性能化・低コスト化を検討することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する未利用排熱を利用したエネルギーキャリアシステムの構築を目指しています。

プレスリリース

②人工光合成技術の開発

太陽光をエネルギー源とするエネルギーキャリアや有用物質の生産(人工光合成)技術の開発を行っています。CO2を原料とする物質生産でカーボンニュートラルに貢献することが目標です。ナノ材料の表面修飾による高機能・高活性化に特長があり、環境浄化やセンサーへの応用も可能です。ナノ材料を利用することで、活性波長や反応選択性の制御が格段に向上します。


当プロジェクトでは、富山県の特色ある自然環境(国内屈指の地熱ポテンシャル、豊富な森林資源や水資源)を活用し、様々な事業の展開に貢献するとともに、自然(地熱・森林)開発が及ぼす環境影響を評価・解析することで、富山県にカスタマイズした地方創生型カーボンニュートラル社会の実現を目指しています。


【社会実装部門】

当プロジェクトでは、研究開発部門と密接に連携し、次世代のバイオ燃料技術開発と低炭素社会を実現するべく、国際的な技術交流を深化させ、持続可能なエネルギー社会の構築に貢献します。

具体的には、CO₂やバイオマス、廃プラスチック由来ガスを活用したジェット燃料合成技術のベンチスケール試験をタイで実施し、高い選択率での燃料合成に成功しました。Airbus社や本田技研工業(株)、JFE、台湾工業技術院との連携を進めています。


当プロジェクトでは、先進アルミニウム国際研究センター、経済学部、大学院持続可能社会創成学環などの学内の「知」を融合させることで、研究開発部門からの研究成果の社会実装性を高める役割を果たすことを目指します。

特に先進アルミニウム国際研究センターと兼務するメンバーは、本学で開発したアルミニウムリサイクルに関する技術の工場レベルへの展開に着手するとともに、開発技術を媒介とした国際連携や地域連携を推進しています。

研究成果の社会実装

プレスリリース

「アルミ再生の拠点 富山大学の挑戦」が放送されました
富山循環経済モデル創成に向けた産学官民共創拠点 第2回公開シンポジウムを開催しました
【イベント】おやこでアルミ遊びを開催しました
【イベント】ふらっとシャベル主催「災害対策、してる?―アルミで考える防災―」が開催されました
【終了】Meet up Chubu 開催 アルミリサイクル in 富山大学
【開催】全4回ビジネスブランディングコース「アルミからはじめる”かわいい””かっこいい”ものづくり」


【人材育成部門】

令和8年度から大学院共通科目として「カーボンニュートラル概論(仮称)」を開講する予定としており、部門内で検討を重ねています。

本講義では、多様な視点からカーボンニュートラルに関する知識を深め、考え方を学ぶことができるように、本学のスケールメリットを活かした全学出動体制とする構想をしています。